2023年3月7日 今日の桃太郎
「今日は、桃太郎が犬と猿と雉を連れて鬼退治に出発する日です。お爺さんとお婆さんが見送りました」
『いってらっしゃい』
「桃太郎、気をつけるんじゃぞ」
「ありがとうございます。では、行ってまいります」
『いってきま~す』
「さあ、みんな出発だ! 鬼をやっつけてくるんだ!」
「ワンッ!」
「ニャーン」
「キジィー」
「あれ? そういえば、鬼ヶ島に行くのに、どうして海を渡るんだろう?」
『え?』
「だって、桃太郎たちは陸続きの国からやってきたんだよね。それなのに、わざわざ海を渡っていくなんて変だよ」
「そ、それは……」
「もしかして、鬼ヶ島まで行く方法がないんじゃないかなぁ?」
「うぅ……その通りじゃ。鬼ヶ島までは船しかないんじゃよ」
「ああーっ!? やっぱりそうなんだね。だから、おじいさんは困った顔をしていたんだね」
「でも、大丈夫ですよ。そんなこともあろうかと、僕たちで船を造ってきたんですから」
「おお、そうだったのか! これは助かったわい」
「これで安心して出発できますね」
「じゃが、鬼たちも船で攻めてきたらどうするんじゃ?」
「いえ、それはないと思います。鬼たちは人間よりもずっと力が強いですし、それに空を飛べませんから」
「なるほどのぉ」
「では、行ってきます!」
「頼んだよ、桃太郎」
「はい、任せてください!」
「いってらっしゃ~い」
「ニャーン」
「キジィ~」
「……」
「ねぇ、お婆さん。どうしてキジは鳴かないのかな?」
「ふむ、おそらくキジは人語を理解しているのでしょう。しかし、それを話すことができないのです」
「へぇ~、すごいね!」
「さすが桃太郎ですね」
「あっ、そうだ!忘れるところだったよ。これを渡さないといけなかったんだ」
「なんですか、この袋は?」
「これがあれば、いつでも好きなときに桃を食べることができるんだ」
「なんと素晴らしいアイテムでしょうか!」
「わーい! やったぁー!!」
「よかったのう、孫よ」
「うん! お腹いっぱい食べられるよ!」
「……ん? 今なんか聞こえませんでしたか?」
「そうかい? ワシには何も聞こえなかったが……」
「きっと空耳でしょう」
「あはは、そうだよね。それよりも早く食べようよ」